伊藤会計事務所
伊藤 桜子
九州北部税理士会 福岡支部 登録番号 第109896号
福岡県行政書士会 福岡中央支部 会員番号 13020号)
1990年 神戸大学法学部卒業。2008年 福岡市中央区薬院にて伊藤会計事務所開業。
福岡を中心に、相続税申告・生前対策相談・事業承継など累計700件以上を手掛けてきた。
相続対策や相続税法改正をテーマとしたセミナーにも多数登壇。
相続基礎知識
この記事の監修
伊藤会計事務所
伊藤 桜子
九州北部税理士会 福岡支部 登録番号 第109896号
福岡県行政書士会 福岡中央支部 会員番号 13020号)
1990年 神戸大学法学部卒業。2008年 福岡市中央区薬院にて伊藤会計事務所開業。
福岡を中心に、相続税申告・生前対策相談・事業承継など累計700件以上を手掛けてきた。
相続対策や相続税法改正をテーマとしたセミナーにも多数登壇。
相続税の障害者控除とは、85歳未満の障害者が相続や遺贈で財産を取得した際に、相続税額から一定額を差し引ける制度です。控除額は、特別障害者で年20万円、一般障害者で年10万円に「85歳までの年数」を掛けた金額です。
ご家族に障がいをお持ちの方がいる場合「将来の生活費をしっかり残してあげられるか」「相続税がどれくらいかかり、生活に影響が出ないか」といった不安をお持ちになるケースは多く見られます。
この制度を活用すれば、障がい者本人のみならず、同居・扶養するご家族全体の相続税負担を大きく軽減することが可能です。
本記事では、相続専門の税理士が、障害者控除の適用要件、正しい計算ルール、使い切れなかった控除枠をご家族に引き継ぐ方法、さらには「相続税申告が不要となるケース」まで詳しく解説します。
相続税の障害者控除とは、85歳未満の障害者が相続や遺贈(遺言による財産の取得)によって財産を取得した際、算出された相続税額から一定の金額を直接差し引くことができる制度です。
障がいをお持ちの方は、日常的な医療費や介護費用、福祉サービスの利用などにより、継続的な出費が発生しやすい傾向にあります。そのため、家計を支えていたご家族を亡くした後は、経済的な不安を抱えるリスクが高まります。相続税の障害者控除は、そうした方の将来にわたる生活資金を可能な限り手元に残し、生活の安定を図るために設けられた制度です。
相続税の障害者控除の適用を受けるには、被相続人が亡くなった日(相続開始日)において、以下の4つの要件をすべて満たしている必要があります。
財産を取得する人が、民法上で定められた「法定相続人」であることが求められます。配偶者、子、親、兄弟姉妹などが該当します。
相続開始日時点における年齢が満85歳未満であることが条件です。満85歳以上の方は本制度の適用対象外となります。
財産を取得した時点で、日本国内に住所を有していることが原則的な条件です。
相続開始の時点で、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳、療育手帳などの交付を受けている障害者である必要があります。
相続発生後に新しく手帳を取得した場合は原則対象外ですが、相続開始以前から障害の状態にあったことが証明できるケースでは適用が認められる場合もあります。
税法上の障害者は、障害の程度や所持している手帳の等級によって「特別障害者」と「一般障害者」の2つに区分されます。どちらに該当するかによって控除額が異なります。
| 区分 | 主な判定基準 | 控除額 |
| 特別障害者 |
|
20万円/年 |
| 一般障害者 |
|
10万円/年 |
障害者控除の金額は、「対象となる相続人が85歳に達するまでの年数」に、20万円または10万円を掛けて算出します。
(85歳-35歳)×20万円=1,000万円
本人の相続税額が1,000万円以下であれば、納税額は0円となります。
(85歳-52歳)×10万円=330万円
本人の相続税額が330万円以下であれば、納税額は0円となります。
障害者控除の最大の強みは、「控除額の引き継ぎ」ができる点にあります。
障害者本人の相続税額よりも障害者控除額の方が大きく、控除額が余ってしまった場合、その残額を「扶養義務者」である他の相続人の相続税額から差し引くことができます。
扶養義務者とは、主に以下の範囲の親族を指します。
【前提条件】
【税額計算】
このように、障害者本人の税額をゼロにするだけでなく、生計を共にするご家族全体の相続税を軽減することができます。
「相続税が0円になったら税務署への申告は不要か」という質問は多く寄せられます。結論から言うと、適用する制度によって申告の要否が分かれます。
遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えている場合でも、通常の財産評価を行ったうえで、障害者控除を適用した結果として相続人全員の納税額が0円になるのであれば、税務署への相続税申告手続きは不要です。
以下の特例を適用したうえで障害者控除を適用する場合は、申告期限(10ヶ月以内)までに相続税申告書を提出しなければなりません。
これらの「申告が要件となっている特例」を適用して相続税額が0円となるケースで無申告のまま放置すると、特例の適用が否認され、後から多額の追徴課税をされるリスクがあります。
過去の相続(例:父親の相続=一次相続)で障害者控除の適用を受けたことがある方が、その後の相続(例:母親の相続=二次相続)で再び障害者控除を受けようとする場合、無制限に満額の控除が受けられるわけではありません。
この場合の二次相続における控除限度額は、次のうちいずれか少ない方の金額となります。
なお、一次相続時は「一般障害者」だったが二次相続時に「特別障害者」に区分が変わった場合などは、単純な引き算では計算を誤りやすい部分です。
二次相続が発生した際は、一次相続時の適用状況を確認したうえで、税理士に計算を依頼することをおすすめします。
また、一次相続で障害者控除を適用することにより納税額が0円となり相続税の申告をしなかった場合でも、その計算過程を残しておかないと二次相続の際に適用できる障害者控除の控除限度額が分からなくなってしまうため注意が必要です。
相続税の障害者控除は、障害者本人のみならずご家族全体の経済的負担を大きく減らすことができる非常に重要な制度です。
「自分たちのケースで障害者控除が使えるか知りたい」「申告が必要なのかどうか判断がつかない」「将来のために生前対策を考えておきたい」といったお悩みをお持ちの方は、自己判断を行わず、経験豊富な専門家へ相談することをお勧めします。
福岡遺産相続サポートセンターでは、障がいをお持ちのご家族がいるご家庭に寄り添い、最適な相続税対策やスムーズな手続きをフルサポートしております。初回のご相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
当コラムは記事作成時の法令等に基づいています。 税務関連記事内では、一般的事例としての取り扱いを記載しております。例外や特例を含めすべての事例について詳細に記したものではありません。 最終的な税務判断においては、税理士または税務署へご相談ください。 また、当コラムに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
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