伊藤会計事務所
伊藤 桜子
九州北部税理士会 福岡支部 登録番号 第109896号
福岡県行政書士会 福岡中央支部 会員番号 13020号)
1990年 神戸大学法学部卒業。2008年 福岡市中央区薬院にて伊藤会計事務所開業。
福岡を中心に、相続税申告・生前対策相談・事業承継など累計700件以上を手掛けてきた。
相続対策や相続税法改正をテーマとしたセミナーにも多数登壇。
相続税・贈与税
この記事の監修
伊藤会計事務所
伊藤 桜子
九州北部税理士会 福岡支部 登録番号 第109896号
福岡県行政書士会 福岡中央支部 会員番号 13020号)
1990年 神戸大学法学部卒業。2008年 福岡市中央区薬院にて伊藤会計事務所開業。
福岡を中心に、相続税申告・生前対策相談・事業承継など累計700件以上を手掛けてきた。
相続対策や相続税法改正をテーマとしたセミナーにも多数登壇。
ご家族が亡くなられた後、6ヶ月~8ヶ月ほど経過した頃に税務署から「相続税についてのお尋ね」が届くことがあります。
「税務調査の前触れではないか?」「無視したらどうなるのか?」など不安に感じるかもしれませんが、これは手続きの漏れを未然に防ぐためのお知らせのひとつなので、必要以上に身構える必要はありません。
この書類は、税務署が「申告が必要かもしれない」と判断した方に送られているため、届いたタイミングで一度状況を整理しておけば、その後の手続きをよりスムーズに進めることができます。
この記事では、相続税の申告が必要なケースと不要なケースの判断基準、そして書類が届いたときの対応方法を解説します。
「相続税についてのお尋ね」は、税務署が相続税の申告が必要と思われる方に対して、申告の検討を促すために送付される書類です。
税務署が相続についてのお尋ねを送る最大の目的は「相続税の申告漏れを未然に防ぐこと」です。
相続が発生したこと(死亡届の提出)は、市区町村から税務署へ通知される仕組みになっています。
税務署は独自のデータベース(KSK:国税総合管理システム)を使い、亡くなった方の過去の所得や保有資産を分析した上で、一定の資産がありそうなご家庭にこの書類を送っています。
「相続税についてのお尋ね」が届いたからといって、必ず相続税の申告を行わなければならない、というわけではありません。
税務署は、過去の所得データや不動産登記情報から「相続税が発生する可能性がある」と推測したご家庭にこの書類を送付していますが、亡くなった方の最新の預貯金残高や、正確な負債の額、葬儀費用の詳細までは把握していません。
そのため、計算した結果「財産総額が基礎控除額を下回っており、申告の必要はなかった」という結論になるケースも珍しくありません。
お尋ねが届くタイミングは、多くの場合、相続発生後6ヶ月〜8ヶ月が経過した頃です。
一方で相続税の申告期限は「亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められています。
ここでの注意点は「お尋ねが届いた時点ですでに相続税の申告期限が目前に迫っている」ということです。
相続税申告が必要な場合に、まだ数ヶ月あるから大丈夫、と思われるかもしれませんが、申告に必要となる書類の取得には数週間から数ヶ月かかることが多いため、お尋ねが届いた時点ですぐに財産調査を開始することが大切です。
税務署は私たちが考えている以上に財産に関する詳細な情報を把握しています。
このように、税務署では各機関からの情報を事前に照らし合わせているため、お尋ねに対して事実と異なる回答をすることは、後の税務調査のリスクを高めることにつながります。
特に以下の3つのパターンに当てはまる方には送付される傾向にあります。
税務署が保有する過去の確定申告データや、長年の給与所得から推定される「手元資金(金融資産)」が基礎控除額を明らかに超えていると推測されるケースです。
亡くなった方が高所得者であった場合や、過去に大きな資産売却(土地や株式の売却など)を行っていた場合、税務署は「相当な資産が形成されているはずだ」と予測します。
こういったケースでは、税務署側ですでに「申告書が出てくるのを待っている」状態に近いため、お尋ねが届いた段階で速やかに財産目録を作成し、申告の準備に入る必要があります。
もし「資産はない」と実態と異なる回答をしても、税務署は銀行照会等で調査ができるため、後日の税務調査を招くリスクが非常に高いと言えます。
亡くなった方が不動産を所有していた場合、お尋ねが届く可能性があります。
不動産は現預金と異なり、評価方法によってその価値が大きく変動します。
税務署は固定資産税の課税台帳などを基に「概算」で評価していますが、その概算値が基礎控除付近であれば、実態を詳しく確認するために書類を送付します。
特に福岡市内などの路線価評価が高いエリアでは、固定資産税評価額を上回るケースもあるため、一度正確な評価額を確認しておくことをおすすめします。
近年、税務署が注視しているのが、海外にある預金、不動産、株式などの「国外財産」です。
日本に住んでいる方が亡くなった場合、原則として国外財産も日本の相続税の対象となります。
税務署は、1回100万円を超える国外送金調書や、国外財産調書などを通じて、海外資産の動きを厳格に把握しています。
高額な国外送金履歴がある場合や、海外で投資を行っていた形跡がある場合には、その財産が相続税の計算対象に漏れなく含まれているかを確認するためにお尋ねが届くケースがあります。
書類が届いたら、以下の4つのステップで対応を進めましょう。
お尋ねには回答期限が記載されています。
相続税の申告期限(10ヶ月)よりも前に設定されていることが多いですが、まずはカレンダーを確認して期限に間に合うようにスケジュールを組みましょう。
これが最も重要かつ大変な作業です。
相続財産を調査し、亡くなった日時点での財産の評価額を算出します。
主に以下の書類や情報が必要です。
ステップ2で計算した財産総額と相続税の基礎控除額を比べます。
相続税の基礎控除額の計算は次のとおりです。
相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
例えば、最初にお父様が亡くなり、相続人がお母様と子供2人の計3人の場合、基礎控除額は4,800万円となります。
財産の合計額が基礎控除額の範囲内であれば、原則として申告の必要はありません。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800円 |
お尋ねの回答欄に各財産の概算額を記入し、税務署へ返送します。
これで手続きは完了です。
お尋ねの返信よりも「相続税の申告書」の作成と提出が優先されます。
申告書を提出すれば、お尋ねの提出は不要となります。
なお、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」を適用することで、相続税が0円になるケースもあります。
これらの特例は「相続税の申告書を提出すること」が適用条件です。
「特例で0円になるから申告しなくていい」と手続きを放置すると、後から税務署の指摘を受けることになります。
特例を確実に適用するためにも、申告が必要と判断した段階で速やかに準備を進めましょう。
不動産の評価や特例の適用判断は、専門知識がないと税務署との見解の相違が生じやすいポイントです。
「書き方がわからない」「計算に自信がない」と感じたときは、早めに相続専門の税理士へ相談することをおすすめします。
手続きを確実に進めるためにも、一人で抱え込まずにご相談ください。
お尋ね自体には法的な提出義務はありませんが、無視をしたり事実と異なる回答をすることはおすすめできません。
税務署はすでに一定の資産情報を把握した上で通知を送っているため、無反応であったり、把握しているデータと異なる回答があると、「ほかにも隠している財産があるのではないか」という疑念を持たれるきっかけになります。
その結果、本来であれば書類のやり取りだけで済んだはずのケースでも、税務調査の対象として選ばれるリスクが高まります。
届いた段階で誠実かつ正確に対応しておくことが、余計な疑いを持たれることなく、手続きを円満に完了させることにつながります。
「相続税についてのお尋ね」が届いたということは、税務署が申告の必要性を確認している段階にあるということです。
正しく財産を評価し、適切な特例を適用すれば、納税額を最小限に抑えることが可能です。
しかし、不動産の評価をはじめとする財産の判定は、専門知識がないと税務署との見解の相違が生じやすいポイントでもあります。
相続税についてのお尋ねが届いた方や、相続に関するご不安がある方は、ぜひ当センターの無料相談をご活用ください。
相続の専門家が「お尋ね」への回答書の書き方から申告が必要かの判断など、適切にアドバイスいたします。
当コラムは記事作成時の法令等に基づいています。 税務関連記事内では、一般的事例としての取り扱いを記載しております。例外や特例を含めすべての事例について詳細に記したものではありません。 最終的な税務判断においては、税理士または税務署へご相談ください。 また、当コラムに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
相続に関する不安・お悩み解決を
わたしたちがサポートします
生前にできる相続対策、相続税の申告、相続に関する手続きなど
相続に関するお悩みを幅広くサポートします。