HOME企業経営サポート > 起業する前に知っておきたいこと 2.個人事業と法人の違い

起業する前に知っておきたいこと
2. 法人成りのメリット・デメリット

法人成りのメリット

1. 社会的信用力がアップします。

会社として法律により法人格が認められ、法人として法務局に登記されるので、どのような会社か対外的に公示されます。金融機関で法人名義で口座が作れたり、法人として融資を受けることができます。そして制約(会社としか取引をしない)のある大きな会社とも取引ができます。

2. 人材を集めやすくなります。

求職者は個人の事業所より法人の事業所に就職したいので、人材が集まり優秀な人材を確保できるようになります。これは個人事業所より会社の方が社会的信用が高いからです。

3. 個人のお金と会社のお金を明確に区分できます。

個人事業だと事業用の資産を購入しても個人の財産とみなされます。生活の資産と事業用の資産を区別することができません。これに対して法人は、法人名義で預金をすることができ、不動産についても法人名義で登記することができます。法人名義にしておけば、離婚や相続等が発生した場合も個人の資産とは区別されるので会社を継続することができます。

4. 税制面でのメリット

①給与所得控除が使える。
会社にしたことで会社から給与を出せるので、給与所得控除が使えます。
②適正な退職金を支給して会社の経費にできる。
個人事業だと事業主及び専従者に退職金を支給することができません。会社では、役員や家族従業員にも退職金を支給できます。このもらった退職金は、退職所得となり低い税率の所得税で節税になります。
③欠損金(赤字)の繰越が9年できる。
青色申告の個人事業者の場合は、純損失の繰り越しは、3年間に対し、青色申告の法人の場合は、繰越欠損金が9年間も繰り越せます。
④一定の生命保険を会社の経費にできる。
一定の生命保険については、保険料の全額または保険料の2分の1を会社の経費にできます。保険金を、経営者の退職金の原資とすることができます。
⑤資本金が1,000万円未満の法人を設立すると最長2年間消費税が免除になる。
資本金が1,000万円未満の法人を作ると最長2年間は消費税を納める必要がありません。
⑥自宅を社宅にすれば、家賃を会社の経費にすることができる。
個人事業の場合は、自宅家賃は、事業に自宅を使用していないと経費にならないし、経費になるのも事業割合分だけです。法人の場合は、役員の社宅家賃を会社の経費にでき、役員が会社に家賃負担金を支払い節税になります。
⑦法人と個人で税率が違うので一定の場合には、税率が低くなる。

法人成りのデメリット

1. 赤字でも均等割という名の税金が最低でも7万円かかる

均等割とは住民税の一種で、法人の資本金等の額や従業員数によって決まります。資本金等の額1,000万円以下で従業員数50人以下であれば、市町村によって違いはありますが、多くの市町村が7万円で済むでしょう。

2. 会社設立時や役員変更時の登記費用がかかる。

法人を設立する際は、登録免許税、定款認証費用、司法書士等の手数料などが掛かってきます。また、役員変更登記も最低でも10年に1回手続きが必要なため、登録免許税や司法書士の手数料などがかかってきます。

3. 税務申告が複雑になる

法人の決算および税務の申告は、個人事業主のものとは違い、複雑になっています。税法の知識、複雑な計算が必要ですので、税理士に依頼する必要があります。

4. 事業で儲かったお金を自由に使えなくなる

個人事業主の場合は、事業で儲かったお金は好きに使えます。法人の場合は、法人から役員報酬として給料をもらうことになり、それ以外にお金を引き出すと、法人から個人にお金を貸し付けたことになります。これは貸し付けですから、いずれ返さなくてはなりません。また、役員報酬は基本的に年1回しか変更することができません。

5. 従業員が社長一人でも社会保険に強制加入

法人の場合、社会保険は従業員一人でも強制的に加入することが義務づけられています。ここでいう従業員とは、役員も含むため、社長一人でも社会保険に加入することになります。社会保険の金額は、報酬に比例するため、役員報酬が高ければ、今まで支払っていた国民年金や国民健康保険より高くつきます。

法人成りの流れ

1. 会社の概要を決めておく

これから作る会社の準備として、商号・本店・目的・資本金・役員・事業年度などを決めておく

2. 個人事業から法人に引き継ぐものを決めておく

3. 会社設立登記をする

会社の概要ができたら、定款を作成して公証人役場で認証を受けます。そして、法務局に会社設立登記を申請して会社が完成します。
個人事業からの法人成りは、個人の所得税などの税金と会社設立後の法人税などの税金が複雑に絡みますので、当事務所におまかせください。
個人事業からの法人成りの面談による無料相談もしておりますのでお気軽にご相談ください。

4. 法人化に伴う各種届出

個人事業の廃止に伴う届出
提出先 提出書類 提出期限
税務署 (1)廃業等届出書 事業廃止から1ヶ月以内
(2)青色申告とりやめ届出書 青色申告取りやめの年の翌年3/15まで
(3)給与支払事務所等の廃止届出書 給与支払いをやめて1ヶ月以内
(4)事業廃止届出 事業廃止後すみやかに
都道府県税事務所 事業廃止等申告書 事業廃止後すみやかに
市町村 開廃業等申告書 事業廃止後すみやかに
会社設立に伴う届出
提出先 提出書類 提出期限
税務署 (1)法人設立届出書 設立した日から2ヶ月以内
(2)青色申告の承認申請書 設立した日から3ヶ月以内
(3)給与支払事務所等の開設届出書 給与支払事務所等を設けた日から1ヶ月以内
(4)源泉所得税の納期の特例申請書 適用月の1ヶ月前まで
(5)減価償却資産の償却方法の届出書 申告期限まで
(6)棚卸資産の評価方法の届出書 申告期限まで
都道府県税事務所 法人設立届出書 設立した日から15日以内
市町村 法人設立届出書 設立した日から1ヶ月以内

 

起業する前に知っておきたいこと

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